【技能実習】Q16:厚生労働省が発表している「労働時間」の違反にはどのようなものがありますか?

2021/06/24

Q&A 労働基準法

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回答

「労働時間」の違反には、
1 36協定を労働基準監督署に届けていないのに1日8時間、1週40時間を超えて働かせた
2 36協定で定めた時間を超えて働かせた
3 変形労働時間の間違った取扱い

などがあります。

毎年、厚生労働省のホームページで、「技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況」が発表されています。これは技能実習生に対する違反に限らず実習実施者に対して行われたものです。令和元年度において「労働時間」は21.5%の実習実施者で違反が指摘されています。

主な違反事項としか書かれていないので、もう少し詳しい解説があるとありがたいですね。

公表資料には解説がないので、ここで簡単に説明します。

労働基準法について

日本国憲法に次のような規定があります
第27条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
② 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
③ 児童は、これを酷使してはならない。

この規定に基づき、労働条件の基準が定められたのが労働基準法です。そのほとんどについて罰則が規定されている取締法規でもあります。

労働基準法を遵守させるために、労働基準監督署という専門の役所と労働基準監督官という司法権限を持つ職員が全国に配置されているような法律ですので、よく知っておく必要があります。

労働時間について

労働基準法に次のような規定があります
第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

まず、1週40時間、1日8時間を超える労働がここで禁止されています。
ここでいう労働時間は、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいいます。使用者の明示又は黙示の指示により、労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たります。
言い換えれば実質的に業務命令を受けて仕事をしている時間ということです。


36協定について

1週40時間、1日8時間を超える労働の禁止を解除できる条文が第36条にあります。
第36条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。



「第36条」に定める「労使協定」なので、36(サブロク)協定と呼ばれています。
「行政官庁」というのは、働いている場所を管轄する労働基準監督署のことです。
労使協定を結び、それを結びましたと届出るのが「時間外労働・休日労働に関する協定届」です。一般にはこの届のことを36協定といっています。普通は労使協定を別に作成しないで、「時間外労働・休日労働に関する協定届」に労働者代表の印鑑と使用者の印鑑を押して、届と協定を兼ねたものを作成しています。
最近いろいろな届が印鑑廃止となっていますが、労使協定を兼ねる場合は届としてではなくて協定を作成するという意味で、お互いに内容を確認したという押印が必要となります。
なお、36協定の当事者になる労働者代表は、残業を命じる立場の人がなれば協定自体が無効となることも注意が必要です。

労働時間違反の解説

1 36協定を労働基準監督署に届けていないのに1日8時間、1週40時間を超えて働かせた
これは36協定を労働基準監督署に届けていなかった違反です。協定は1年とする必要があるので、毎年届出しなければなりません。忘れないようにカレンダーにメモしておきましょう。
ただし、農業職種と漁業職種は労働基準法第41条で労働時間規制の適用除外となっていますので、この違反となることはありません。このことを知らない監理団体職員もいるため「届出するように」と指導されますが、労働基準監督署に持って行くと『届出の必要はない』と言われます(お願いすれば、受付はしてくれます)。

2 36協定で定めた時間を超えて働かせた
36協定で1日、1月、1年について残業時間の上限を決めますが、その上限を超えて働かせた場合の違反です。協定時間には限度時間(主に月45時間、年間360時間)が定められていますので、それを超えていたということです。
残業時間が長いと過労により心身に影響があります。過労は死につながる場合もあるため、厳しく指導されます。過去には技能実習生が過労死した事例もありますので、技能実習生が希望したとしても、長時間労働は厳禁です。

3 変形労働時間の間違った取扱い
変形労働時間制度は、一定期間を平均することで週40時間とするための制度です。就業規則で定めたり、届出をすることによって行います。

実質的に変形労働時間を採用しているのに、届出等を行っていないという違反です。

技能実習法の対応

大幅に残業をする予定がある場合、技能実習計画の変更認定や変更届が必要になる場合があります。変更認定の水準は過重労働になると思うので、変更認定を受けなければならないといって、機構が認定してくれるのかは疑問です。技能実習運用要領に記載があるのは次の通りです。

【月ごとの時間数の変更】

・月ごとの時間外労働等の合計時間を、80時間を超えて延長しようとする場合には変更認定が必要。
36協定に特別

・月ごとの時間外労働を、45 時間を超えて延長する場合には届出が必要。
※「月」の始期が、技能実習計画と36協定で異なる場合は、36協定における始期としてください。(例:36協定では毎月1日を始期としており、4月15日から技能実習を開始した場合、5月1日からの1か月で45時間を超える場合には届出が必要。)
※1年単位の変形労働時間制を導入している場合は、月42時間を超えて延長する場合に届出が必要です。

・月ごとの合計時間数を80時間以上短縮する場合には届出が必要。

【業務ごとの時間数の変更】

・必須業務、関連業務及び周辺業務として記載している具体的な業務ごとにみて、合計時間数を予定の50%以上に相当する時間数を変更する場合には変更認定が必要。
・必須業務、関連業務及び周辺業務として記載している具体的な業務ごとにみて、合計時間数を予定の25%以上50%未満に相当する時間数を変更する場合には届出が必要。
・なお、法第9条第2号(規則第10 条第2項第2号)の従事させる業務の基準は遵守する必要があること。

【年間の合計時間数の変更】

・年間の合計時間数を予定の50%以上に相当する時間数を変更する場合には変更認定が必要。
・年間の合計時間数を予定の25%以上50%未満に相当する時間数を変更する場合には届出が必要。

まとめ

○ 令和元年度に監督署に訪問された実習実施者の21.5%で労働時間の違反あり
○ 主な違反は36協定未届と残業時間が36協定超え
○ 残業させるなら36協定の範囲にしておけば、余計な手続きが不要

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