【技能実習】Q15:技能実習生の残業について、自己申告制を改善するように指導されました。どのように改善すればいいですか?

2021/06/23

Q&A 労働基準法

t f B! P L

回答

技能実習は、技能実習指導員が技能実習生を直接指導する必要があることから、労働時間も技能実習指導員が把握しているはずであり、自己申告はあり得ません。

改善するためには、実習実施者が技能実習生の労働時間を適正に把握する方法が考えられます

労働時間を適正に把握するためには、技能実習指導員が把握している労働時間が正確であることを保証する必要があり、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録することが求められています(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン)。

労働時間の考え方

技能実習生の労働時間とは、実習実施者の指揮命令下に置かれている時間のことをいいます。実習実施者の明示又は黙示の指示により、技能実習生が業務に従事する時間は労働時間に当たります。

言い換えれば実質的に業務命令を受けて仕事をしている時間ということです。

労働時間と扱わなければならない時間の例

1 実習実施者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為を事業場内において行った時間
 ○着用を義務付けられた所定の服装への着替え等

2  実習実施者の指示により、業務終了後の業務に関連した後始末を事業場内において行った時間
 ○清掃等

3 実習実施者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間
 ○材料が届くまでの待ち時間等(いわゆる「手待時間」)

4 参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、実習実施者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間

労働時間の適正な把握のために実習実施者が講ずべき措置

1 始業・終業時刻の確認及び記録
実習実施者は、労働時間を適正に把握するため、技能実習生の実習日ごとの始業・ 終業時刻を確認し、これを記録すること。

2 始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法
実習実施者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。

○ 実習実施者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
○ タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。

一番大切なことは技能実習生が認識している労働時間と、実習実施者が認識している労働時間が一致していることです。ここが一致していれば、大きなトラブルとなりません。

労働時間管理について

技能実習生に対する労務管理の知識の付与は、入国後講習において行いますが、技能実習手帳に書かれている程度の基礎知識だけです。

実習実施者において、具体的にどのように始業時間と就業時間を判断するかのルールをきちんと説明しておかないと、技能実習生が都合良く考えて無用なトラブルとなります。

技能実習生が不満に思っていたとしても、何も言わずにいて、帰国直前になって外国人技能実習機構や労働基準監督署に訴えることもあります。

その時に、技能実習生が毎日自分でつけていた記録があり、実習実施者が何も記録していなかった場合、技能実習生の日々の記録の方が主張として信憑性が高まってしまいます。

技能実習生の記録は、もしかしたら宿泊施設を出た時間と戻ってきた時間かもしれませんが、対抗できる客観的な記録がないと思うような反論もできなくなります。

また、タイムカードを客観的な記録として導入していても、始業時間と就業時間のルールの説明がなければ、誤解が生じていることもあります。

技能実習生が、少しでも労働時間がカウントされるように、朝は走ってタイムカードを打刻しにきて、帰りはゆっくりとタイムカードを打刻するようなことも聞いたことがあります。

そんなトラブルを嫌がってタイムカードを使わない実習実施者もいますが、トラブルになったときに客観的な記録がなくては第三者への説明もできず、紛争は泥沼化してしまいます。

機構から改善の指導を受けることもありますので、そうならないように何らかの客観的な記録は必要で、一番手軽な方法がタイムカードでしょう。

タイムカードの使い方

タイムカードはのメリットは、技能実習生自身で打刻させることにより、
○打刻した時刻にそこにいたことが明らかになる
○技能実習生が仕事を始めた、終わったとする客観的な記録となりうる
ということです。

デメリットは不正打刻が容易なことです。誰かに頼んで打刻してもらったり、第三者が勝手に打刻することで、客観的な記録ではなくなってしまいます。

タイムカードのチェック方法

始業時間は基本的には雇用契約書とか就業規則の定めのとおりの業務をしていたのであれば、数分のずれがあったとしても定時で業務が終了したと考えます。

もし、仕事が終わらなくて数分ずれ込んでいたのであれば、その日は仕事が遅くなったと記録しておきます。

例えば、始業時刻が9時の実習実施者で、8時48分にタイムカードを打刻したとしても、8時48分に会社にいたことの記録とはなりますが、そこから仕事を始めたとは言えず、基本は9時の始業時刻として労働時間を計算をするのが通常です。

技能実習指導員が直接指導するといっても、ずっと監視をしている訳ではないと思いますので、終業を直接確認できなかった時にタイムカードを客観的な記録として使い、おかしなところがあれば個別に技能実習生に確認して労働時間を特定すればいいのです。

タイムカードを使わなくても、今ならデジカメ、携帯電話、防犯カメラ等、客観的な記録を残しておくことでも代替できます。

今回は説明しませんでしたが、休憩時間がとれないという訴えがあったときの備えも重要です。

まとめ

○技能実習生の残業時間の自主申告制はあり得ない
○タイムカード等客観的な労働時間の証拠を残す
○始業終業時刻のルールはあらかじめしっかりと教える
○できるだけ記録した労働時間を技能実習生に確認させる


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